Magical☆Player
私は、潤んだ真紀の目を見つめたが、すぐに視線をそらされた。



「注意されるっていうことは」



真紀に歩み寄った。



「真紀にまだ伸びしろがあるっていうことだから」



頬を伝う涙を見て、ハンカチを手渡した。



「努力した、そう思ってるんでしょう?自分を信じなくちゃ」



全員が私を見つめる。



「凜花・・・」

「後輩からの質問は、各楽器に限ったことじゃなくて、曲への入り方を聞いてくることも多いと思うの。そういう時は、スコアを自分で読ませたり。自分で考えさせることも後輩指導の一環よ。」



私は一息ついて、続けた。



「ソロの練習は、一人でやっていてもよく分からなくなって詰まるだけだから、お互い違う楽器同士で聴き合って、アドバイスしあうことにした方がいいわね」

「凜花…」

「?」



真紀が遠慮がちに声をかけてきた。



「ごめんなさい」

「不安なのはみんな一緒だから」



笑顔で、そう言った。

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