秘密基地
むく、と彼女は起きる。
俺はただ呆然とその光景を見てた。
「…おはよう」
「おはようって……空気読んでよー。まだ眠いんだってば」
「いやいやいや、ちょい待て」
もう一回寝ようと、倒れようとする彼女の肩に手をかけて止める。
「え、まだなんか用ある?」
「いや、ありすぎだろ」
普通に考えておかしい。
名前も知らない人をなんで俺の基地に入れなくちゃならんのだ。
他にも歳とか、いろいろ聞く事はある。
「お前、名前は?」
「…エリーゼ」
「嘘だろそれ、本当の事言え」
こんな髪だって黒くて、いかにも日本人みたいなのに、エリーゼなんて名前の人はたぶんいない。