甘いニオイと先生のキス
「竹下〜そんなに見つめられると食いにくい…」


「す、すみません…」


私は助手席の窓から外の海に目をやった


「やっぱり欲しいんだろ?ホラ」


先生は去年みたいに私の口元に、チョコレートを持ってきた


「いいですって!」


私は身体をドアギリギリまで付けて断った


「いいから!口開けねぇと制服に落ちるぞ!」


私は仕方なく口を開けた


唇に当たり、コロンと口の中に転がったチョコレート


先生…ありがとう


本当はそう言いたいのに言えなくて、口の中でゆっくりとチョコレートを溶かした





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