かげろうの殺しかた
女の子の連れがどこかその辺りにいないだろうかと、

幼い目には無限に伸びているように感じられた長い道の先に視線を向けて、


「あ」


隼人は声を出した。


「逃げ水だ」


道の先がキラキラと光っていた。



隼人が生まれる前から秋山の家に仕えている中間男の甚太が以前、教えてくれた。

坊ちゃん、
こんな季節、よく晴れた日に現れるあの水たまりは
近づいても近づいても遠ざかって行くんですよ。
逃げていくのです。
逃げ水と言うのです。
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