かげろうの殺しかた
「加那は、大きくなったら俺のところに嫁に来るか?」


ある時、隼人は加那に突然そんなことを言った。

無性に言いたくなって、言った。


加那はぽっと頬を染めて、

「はい」

と頷いた。


「かなは、しんさまのおよめさんになります」


その日も、ゆらゆらと
まやかしの水が遠くに光っていた。
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