かげろうの殺しかた
隼人も自分の背後を振り返った。



川沿いの道に、遠く

ゆらゆらと

水たまりが煌めいている。



二人が出会った日と同じように。



隼人は加那に視線を戻した。

加那の目から涙が溢れていた。



「あの水は、
あの場所に立てば、消えてしまうのですね。
あの場所には、何もないのですね」


涙は後から後から、はらはらと加那の頬に零れ落ちた。


「隼人様。
幼き日、隼人様のお隣で私が描いていた幸せは、大人になれば消えてしまいました」


加那は隼人を見つめて、


「立った場所には、何もございませんでした」


そう呟いて、泣き続けた。


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