かげろうの殺しかた
元々は鷹匠であった隼人が突然、役方から番方の仕事に抜擢され、この若い番頭の下につくことになったのも、捜査の助役としてだった。

血の気の多い渡世人が関わっている事件であるから、隼人の剣の腕が買われたのだろう。


己が事件の捜査に回されるやいなや円士郎は反省の色もなく、城代家老に、助役をやってやるから交換条件として隼人を使わせろと、御家老の指揮下にはない御三家の格をちらつかせて更に喧嘩を売る発言をしたのだそうだ。


こんな滅茶苦茶なやり方がずっとまかり通るわけがない。

隼人はいつかこの上役共々、自分も失脚するような気がしてならなかったが……


狂喜乱舞した父の秋山左兵衛は直ちに家督を隼人に譲って隠居を決め込み、円士郎のおかげで勝手に大組に列せられた秋山家はこれまでに比べると格段に広い屋敷に移った。


さて、押しつけられた役目ではあったが、円士郎はふざけているようで、意外にもこの事件の捜査に関しては真面目に行っていた。

親しくしている渡世人の一家に死人が大勢出ているのが気に食わないのか、単なる興味本位なのかは知れなかった。

隼人にはどうでも良いことだった。


この事件の捜査も解決も、隼人には鷹匠の役目と同様に何の思い入れもやり甲斐もなかった。

渡世人同士の争いなど自分には全く無関係。
お役目だからこなす仕事というだけだった。



それが、ある情報を耳にしたことで一変することになる。
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