かげろうの殺しかた
こんな怪しげな者とも知り合いかと、ほとほと御三家の御曹司らしからぬ円士郎の交友関係にあきれて、
「どこかで会ったか?」
ふと、隼人は気になってその遊水と名乗った男に尋ねてみた。
その名に聞き覚えはなかったが。
「会っているかもしれませんね」
遊水はそう言って、自分は棒手振をして金魚を売って回っているものでと説明した。
隼人は、自分の知る者の中にも一人、金魚という少々珍しい魚を育てている人間がいるのを思い出した。
何か──この異国のかんばせの男と関係あるのかと思わなくもなかった。
しかし結局、接点が見つからずに考えるのをやめた。
どうでもいい、といつものように。
遊水はそんな隼人をジロジロと、ヒスイかあるいはびいどろでこしらえたような目玉で舐めるように見回し、
「秋山隼人様とおっしゃいましたかね。
なるほど、あなた様は他人に対する並外れて優れた観察眼と洞察力をお持ちのようで。
こんな捜査にゃ、もってこいなんじゃァないですかい?」
と、とぼけた調子で言った。
いんぎん無礼なしゃべり方をする奴だな、と隼人は思った。
「どこかで会ったか?」
ふと、隼人は気になってその遊水と名乗った男に尋ねてみた。
その名に聞き覚えはなかったが。
「会っているかもしれませんね」
遊水はそう言って、自分は棒手振をして金魚を売って回っているものでと説明した。
隼人は、自分の知る者の中にも一人、金魚という少々珍しい魚を育てている人間がいるのを思い出した。
何か──この異国のかんばせの男と関係あるのかと思わなくもなかった。
しかし結局、接点が見つからずに考えるのをやめた。
どうでもいい、といつものように。
遊水はそんな隼人をジロジロと、ヒスイかあるいはびいどろでこしらえたような目玉で舐めるように見回し、
「秋山隼人様とおっしゃいましたかね。
なるほど、あなた様は他人に対する並外れて優れた観察眼と洞察力をお持ちのようで。
こんな捜査にゃ、もってこいなんじゃァないですかい?」
と、とぼけた調子で言った。
いんぎん無礼なしゃべり方をする奴だな、と隼人は思った。