かげろうの殺しかた
しばらく互いに刀を構えたまま、にらみ合いが続いた。
再び伝九郎が斬りかかり、今度は隼人はそれを小太刀でさばいた。
同時に、不可解な蜃気楼の如き相手の剣の正体を悟った。
刀同士が合わさった刹那、わずかばかり伝九郎の刀に力がかかり、斬撃が深くなるのを感じた。
最初から全て刀で受けていたら気づけなかったかもしれないが、この剣客は、打ち込みの瞬間わずかに刀の長さを足すように攻撃を伸ばすという斬り込み方をしているのだ。
おそらく手首か腕の使い方で、こんな奇妙な剣を振るうのだろう。
意図してやっているというよりは、癖のようなものに見えた。
これが蜃蛟の異名の由来だろうかと思う。
頭で理解しても見極めづらいことには変わりがない。
隼人は終始押され気味になった。
何度か刀を合わせるうちに全身をあちこち切り刻まれ、致命傷こそ負っていないものの体力が削り取られていくのがわかった。
おつるぎ様が、この男を自分に似ていると評したのがよくわかる。
伝九郎は終始にたにたと不気味な笑いを浮かべ、斬り合いが楽しくて仕方がないという様子だった。
そして、こちらの体勢と刀の位置を正確に把握して、わずかな隙に寸分違わぬ鋭い剣が来る。
力量はやはり相手が上だった。
斬れ、斬れ、斬れ。それでも相変わらず隼人の中に声は響いていた。
再び伝九郎が斬りかかり、今度は隼人はそれを小太刀でさばいた。
同時に、不可解な蜃気楼の如き相手の剣の正体を悟った。
刀同士が合わさった刹那、わずかばかり伝九郎の刀に力がかかり、斬撃が深くなるのを感じた。
最初から全て刀で受けていたら気づけなかったかもしれないが、この剣客は、打ち込みの瞬間わずかに刀の長さを足すように攻撃を伸ばすという斬り込み方をしているのだ。
おそらく手首か腕の使い方で、こんな奇妙な剣を振るうのだろう。
意図してやっているというよりは、癖のようなものに見えた。
これが蜃蛟の異名の由来だろうかと思う。
頭で理解しても見極めづらいことには変わりがない。
隼人は終始押され気味になった。
何度か刀を合わせるうちに全身をあちこち切り刻まれ、致命傷こそ負っていないものの体力が削り取られていくのがわかった。
おつるぎ様が、この男を自分に似ていると評したのがよくわかる。
伝九郎は終始にたにたと不気味な笑いを浮かべ、斬り合いが楽しくて仕方がないという様子だった。
そして、こちらの体勢と刀の位置を正確に把握して、わずかな隙に寸分違わぬ鋭い剣が来る。
力量はやはり相手が上だった。
斬れ、斬れ、斬れ。それでも相変わらず隼人の中に声は響いていた。