かげろうの殺しかた
「以前の秋山殿では確かに
我が相模家との釣り合いはとれなんだが──」


散々言われてきたことだ。
今さら聞くまでもない。


「しかし聞けばあの結城家の御嫡男に気に入られ、
秋山殿も今や大組に列せられた身」


結城家の嫡男か。

隼人は自分より若い番頭を思い浮かべた。


まだ十八の子供だ。

才気を感じなくはないが、代々の平侍の家の出であった隼人を突然取り立てるなど、やることが滅茶苦茶だった。

結城家はこの国では御三家とよばれる名家の筆頭家で、
家中では客分扱いという珍しい家の一つである。

慣例に倣って部屋住みの身で若くして番頭となった、そこの御曹司の円士郎が
隼人の今の上役だった。


鼻持ちならない生意気なガキだ、と思う。

嫌いではないが。
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