【茶】Brown love★ブスが恋して何が悪い!!
こんなにも楽しいところなら、また……来ようかしら。
最後の仕上げなのか、もう一度温かい手に引かれ、大きな鏡があるだろう席まで戻った。
ドライヤーから吹かれる熱い風が、私の髪の中をすり抜ける。
髪たちも風という友達を歓迎しているかのよう。
― チョン、チョン、チョン。
別れの時を感じる鋏の音。
「さぁ、チョコ色シンデレラの完成です」
スッとアイマスクを外され、鏡に映った姿は──
「これ……私?」
思わず呟いてしまった。
だって、慣れ親しんだ黒髪は、明るめのブラウンに変わっている。
胸まであった長い髪は顎のラインの長さに。
顔を隠すかのように垂らしてあった前髪は、眉毛のところで楽しげに遊んでいる。
少なくとも、私の知っている私じゃないよ。