先生なんて言わせない
カッコイイ人に見られるのって緊張する。
その人は、続きをうながすかのようにじっと見てくる。
その視線を感じると、さっきの勢いはどこかに行き、言葉につまってしまう。
「…あの、助けてくれてありがとうございました」
声がうわずってしまった。
恥ずかしくて、とてもじゃないけど顔を上げられない。
下を向いて緊張を隠すように前髪をいじった。
「しかも、わざわざついてきてくれて。もうここまでで大丈夫ですから」
言い終えると、どうしてかその人は黙り込んだ。
何…?
この気まずい雰囲気は。
何か変なこと言った?
あたしはますます顔を上げられない。
ようやく開いた口からもれたのは、長いため息。
「おまえ、本当に気づいてないわけ?」