先生なんて言わせない

落ち着く間もなく唇が温かい感触で包まれ、離れた。



びっくりして目を開くと、唇の温かさが嘘のように冷たい瞳があった。



肩が痛い。


肩に指がくいこんでるのかと思うほど、強くつかまれている。



とても怖かった。


こんな佐野先生は初めてだ。



今にも唇と唇が触れ合いそうなほど近距離で佐野先生は言う。


「どうするって? 逃げられるものなら逃げてみろよ」



佐野先生の唇は再びあたしをおおった。


必死に抵抗するが、激しく唇を合わせられる。



そして、佐野先生の舌がたやすくあたしの唇を割って中に入ってくる。


「…んン…」


逃げても逃げても追いかけ、あたしの舌をからめとる。



先生を突き放したくても、それすらできない。


先生の片手が肩から外され、あたしの両手首がその手につかまれる。

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