先生なんて言わせない
「花火? いいね。どこでやるの?」
「近くの海でやるそうよ」
あゆみちゃんの姿に苦笑しながら、れみちゃんもやってきた。
「あ、そういえば海があるんだよね。行ったことないけど。
毎年上がってる花火ってここだったんだ」
実は、あたしの家から花火が見えるの。遠いから小さくだけどね。
地元の花火大会と同じ日にやっているから、ちゃんと見たことはないんだけど。
「ね、千沙ちゃんも行くでしょ?」
よっぽど楽しみなのか。
うれしそうに話すあゆみちゃんを見ていると、あたしも自然と笑顔になった。
「おまえら、遊ぶのもいいが、ハメ外しすぎて担任に迷惑かけるなよ」
「うわ、委員長ってば、先生みたい! あ、千沙ちゃん、7時に校門前ね。あ、浴衣でね!」
あたしの笑顔を了解と受け取ったのか、手を振ると、
あゆみちゃんは委員長と口げんかをしながら離れていった。