先生なんて言わせない
その人はあたしのあごをつかみ、無理やり顔を上向かせた。
まるで、俺の顔を見ろとばかりに。
一体、何に気づいてないっていうんだろうか。
早くも首の痛さに限界を感じながらも、ぼんやりと考えていた。
それにしても、この体勢は何!?
ドラマのキスシーンの直前みたい。
“キス”という言葉を自分で考えておいて、顔が熱くなった。
…クスッ。
目の前のその男が小さな笑みを漏らした。
「今、何かエッチなこと考えただろう?」
あたしの顔はさらに赤くなったはず。
「ち、違っ…」
「あわてちゃって可愛いね」
その人が顔を近づけながら言うものだから、あたしの心は騒ぎ出した。
でも、それよりも。
「それよりも! もう首が限界何ですケド!!」