先生なんて言わせない

なんだかひとりは寂しい…。



今は学校へ向かう電車が空いている時間帯だったおかげで、

無事に座れたあたしには痴漢の心配はなかった。


だから、ひとりでも当たり前なんだけど。



やがて見慣れた駅に電車がついて、すっかり重くなった腰を上げた。






電車を降りてから、慣れない下駄で学校へ向かった。



電車の中では浴衣姿の子は少なく、ひとり浮いてるように感じたけど、

改札を抜けて外を歩き出すと、浴衣姿の女の子がたくさんいた。




黙々と歩き続けて、ようやく学校が見えてきた。


駅から学校までそう遠いわけではないけど、下駄のせいでいつもよりずっと時間がかかった。



校門にはすでに皆が集まっていて、あわてて走りだした。



最近では、皆で集まるというと、宿泊研修のときのグループがお決まりで、

れみちゃん、あゆみちゃん、鷹井くん、慶太くん、仲間くんがなにやら話しながら待っていた。

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