先生なんて言わせない
あゆみちゃんがこっちを見て、声を張りあげた。
「千沙ちゃん、走らなくていいよ!」
そう言われても、あともう少しで着くから大丈夫と判断して、あたしは走り続けた。
そして、校門に着くその瞬間、
転んだ。
体が傾き、あたしはとっさに目をギュッと閉じた。
だけど。
あれ?
痛くない。
不思議に思って目を開けると、黒いTシャツが見えた。
勢いよく顔を上げると、すぐそこには鷹井くんが立っていた。
転びかけたあたしを支えてくれたんだ。
「ごめん、ありがとう」
あわてて彼から離れた。
すると、鷹井くんはおもむろにしゃがみ込み、あたしの足を触るから、あたしはまたあわてた。