先生なんて言わせない

そんなあたしの視線に気づいたのか、あたしの方を見て、呆れたように言った。


「もしかして高村、本気で俺が誰かわからないのか」



あたしは小さくうなずく。


当たり前じゃないかと大きくうなずきたかったけど、

先生達の視線まであたしに集中して気おくれしてしまった。



「おまえなぁ、いくら入学したばかりだからって、自分のクラスの副担ぐらい覚えておけよ。

こっちは何十人っているクラスの生徒を皆覚えてるんだからさ」



「ふ…副担!?」



「そう。高村のクラス、1年2組の副担の佐野祐輔(ゆうすけ)だ。入学式の後、教室で自己紹介しただろ」



記憶をめぐらせたけど、あたしにはそんな覚えがなかった。


「知らないよ!?」



そうすると、佐野先生がニヤッと笑った。


「そういや、ひとりだけ俺が自己紹介してるときに眠りこけてたヤツがいたな」



う゛っ…。

佐野先生は絶対わかって言ってる!

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