先生なんて言わせない
└ キスとジェラシー2
「あぁ、シンデレラ。貴方こそ間違いなく私の姫君だ」
『そうして王子とシンデレラは愛を確かめるように、キスを交わ――』
「ダメ~! やっぱりできない!!」
大きな声を出すと、王子役の鷹井くんを力いっぱい押し返していた。
「うわっ」と鷹井くんの間抜けな声と、はぁ~と皆のため息が聞こえる。
放課後、毎日のように劇の練習をしているんだけど、いつもラストでつまづく。
鷹井くんのセリフに続くナレーションが余計に恥ずかしくさせるんだよ。
あれを聞く度に条件反射的に鷹井くんを押してしまう。
「だからさぁ、練習ではフリでいいんだから、とりあえずスパッとキスしてくれない?」
委員長が呆れた声を出す。
「…………!?」
その言葉に違和感があって、頭のなかでくり返す。
『練習ではフリでいいんだから』