先生なんて言わせない

固まる思考をなんとか動かして、ようやく抵抗した時、不意に鷹井くんの動きが止まった。



「鷹井くん…?」



あたしの胸もとを少し開けた状態で鷹井くんは動きを止めている。


しかも、あたしの胸もとを凝視している気がして、不思議に思い、視線をやった。



そこには、この前佐野先生に付けられたキスマークがまだ薄く色づいていて、

あたしはあわててシャツを寄せて隠した。



「…高村って、こんな痕を付けるような相手がいるんだ…」


鷹井くんが呆然とつぶやく。



佐野先生とはそんな関係じゃない。


でも、痕を付けられたことは事実で、あたしは何も言えなかった。



鷹井くんはそれを肯定と受け取ったようで、


「そっか。俺の入り込む余地はなかったってことか」


と言いながら、あたしの胸もとのボタンとリボンを元に戻した。

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