先生なんて言わせない
その年でホストのカッコをしようというのはかなりの無理がある。
五十嵐先生に案内されて着いた席で指名を聞かれ、
あゆみちゃんが相談もせずに答えてしまった。
指名はもちろん若くてカッコイイ先生。
佐野先生と安藤先生だ。
「いらっしゃいませ」
そう言ってやってきた先生達。
佐野先生は青いシャツに黒いスーツをピシッと着こなしている。
安藤先生はピンクのシャツに黒いスーツ。
いつもの授業でのスーツ姿より似合っているかもしれない。
「きゃ~、カッコイイ~」なんて騒ぐあゆみちゃんに「ありがとう」と言いながら、
佐野先生はあたしの右横に座った。
佐野先生がいつも吸っているタバコの香りがふわっとして、あたしはドキッとした。
左横にも、誰かが座った気配がして、左を向くと、なんと安藤先生が座っていた。