先生なんて言わせない

メニューを独り占めしようと手を伸ばしたけど、先に誰かに取り上げられてしまった。



「ああ! まだ決まってないのに」


勝手にとったのは誰?



メニューが消えた方を見ると、佐野先生が満面の笑顔でメニュー片手に立っていた。


「高村には俺の特製カクテルをごちそうしてやるよ」





それから佐野先生は席を離れ、しばらくして飲み物を持って戻ってきた。



あゆみちゃんには少し黄色ががった白い「ミルクセーキ」、

れみちゃんには赤く透明な「スターダスト」が置かれた。



そして、私の前には――。



少しオレンジがかった黄色の透き通った飲み物が置かれた。



「きれい~。これ、何?」


あたしは興味津々にグラスをのぞき込みながらたずねた。



佐野先生は再び私の横に腰かけ、あたしの顔をのぞき込むようにして微笑み答えた。


「シンデレラ」

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