先生なんて言わせない

「あっ、うん。今行く」


あたしは我に返って、急いで中に入った。



この空き教室はこの前鷹井くんや佐野先生にキスされたのと同じ教室なんだよね。


入る前にここであったことを思い出してしまった。


きっと今、顔が真っ赤だよ。





灰かぶりの衣装を着て、ドレス片手に体育館に着くと、もうほとんどの生徒が集まっていた。



「遅いよ~、高村さん」


「あはは、ごめんなさい~」


あたしは苦笑いを浮かべた。


携帯を見ると、どうやら5分遅刻したようだ。



着替える時、誘惑に負けて、劇の途中で着るドレスを試しに着ちゃって、

三人で騒いじゃってたの。



やっぱドレスって憧れるしね。



劇とはいえ、衣装班がかなり気合い入れて作ってくれただけに、わりと凝ったドレスなんだ。

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