先生なんて言わせない
├ 先生とふたりで
今日もよく晴れた文化祭二日目。
一般のお客さまで賑わっている通りを抜けて、体育教官室を目指していた。
というのも、例の佐野先生との見回りの約束のためだ。
それにしても、佐野先生は女子生徒とふたりきりで文化祭を回って、問題にならないのかな?
そんなことを考えながら、教官室をノックした。
「おー、よく来たな」
佐野先生はニヤッと意地悪な笑みを浮かべながら出てきた。何かムカつく。
「早く行って、さっさと見回り終わらしましょう!」
あたしは佐野先生の腕を引っ張るようにして歩き出した。
でも、背後からプッという先生の笑い声が聞こえた。
何がおかしいの、とふり返ってジロリと佐野先生をにらむと、
耐えかねたように佐野先生が口を開いた。
「見回りって一周したら終わりとかじゃないぞ? 今日一日よろしくな、高村」
あたしは相当の間抜け面をしていると思う。