先生なんて言わせない

佐野先生は固まってるあたしなんてお構いなしで、引きずるようにズンズン歩き出した。



そうして着いた教室を見て、嫌な予感が的中したことを悟る。


教室の窓には光が入り込まないように暗幕が貼られていて、

これはまさか――。



「さ、佐野先生、あたし、ここは嫌です」



弱々しくも言ってみるけど、佐野先生にはにっこり笑って「ダメ」なんて言われる始末。


その場から動こうとしないあたしを無視するように、佐野先生は教室のどアを開けた。



「あ、佐野先生じゃん! ようこそ~、二年三組めちゃコワオバケ屋敷へ~!!」



や…やっぱり。


入口にいた男子の言葉で、あたしは完全に地獄に落ちた。



あたし、怖いモノが大の苦手なの!



オバケ屋敷には、幼い頃に親と入って、すごく怖くてトラウマになってしまった。


それから一度もオバケ屋敷には入ってない。



「先生、あたし外で待ってますから!」

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