先生なんて言わせない
Uターンして外に出ようとしたけど、佐野先生に腕をつかまれて、ドアに背を向けさせられる。
「ダメって言っただろう? さぁ、行くぞ」
「うわ~、佐野先生って鬼だね。めちゃコワだけど、頑張ってらっしゃ~い」
あたしは入口の男に見送られながら、佐野先生に奥へ連れて行かれるのだった。
う~。
怖いよ~!
まだオバケは出てこないけど、入口の暗幕が下ろされて真っ暗になっただけで怖くなる。
あたしを引っ張るために、佐野先生が手をつないでくれてることが、
せめてもの救いかもしれない。
つないでるのとは逆の手でも佐野先生の腕につかまり、
佐野先生にしがみつくように目をぎゅっとつぶった。
「お、おい!? そこまで怖いのか?」
佐野先生のあせった声が上から聞こえてきて、
何だかおかしくて、クスッと密かに笑みを浮かべた。
でも、それもつかの間のこと。