先生なんて言わせない
突然、温もりに包まれて、あたしはビクッと肩を震わせた。
「悪かった。もう大丈夫だから」
聞こえたささやきに、あたしは少し安心した。
この声はオバケじゃない。
佐野先生だ。
「行くぞ」
ふわっと体が宙に浮く。
目を閉じた暗闇の中で、地に足がつかないという状況がなんだか少し怖くて、
あたしはギュッと佐野先生にしがみついた。
そして――。
気がついたら、あたしはベッドに仰向けになっていた。
白い天井が目に入る。
独特の薬品か何かの匂いもする。
保健室だろうか。
辺りを見回そうとした時、あたしに影がかかり、佐野先生と目があった。