先生なんて言わせない

でも、何でだろう。


平静ではいられない。



「…あたしは、別に」



佐野先生と付き合っているわけじゃないのに。


なぜかその言葉が出てこない。



「とにかく俺はあきらめないから」


そう言って舞台から去って行く鷹井くんの背中を呆然と眺めていた。



その背中が見えなくなった頃、視線は舞台の幕に移った。



この幕の向こう側に、佐野先生はまだいるんだろうか。



とにかく今日は合わせる顔がない。


佐野先生に会わないように帰ろうと、あたしは決意した。





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