先生なんて言わせない
第9話 先生と謎の女の子!?
├ 今のあたし
「はじめまして、樋渡奈月(なつき)です」
十月最初の日、彼女はやってきた。
「え~樋渡さんは、本当はひとつ上の学年なんですが、一年留学してまして、
もう一度一年生からやり直すことになりました」
五十嵐先生の声が右から左へと通り抜けた。
樋渡奈月。
彼女はあの文化祭の日に佐野先生と親しくしていた子だ。
よりによって、このクラスに転入してくるなんて…。
驚きで呆然としていると、カタンと左隣に誰かが座った気配がした。
左隣はもともと机はなかったんだけど、昨日、そこに置かれたんだ。
そっと左側を向くと、そこには満面の笑顔を浮かべた樋渡さんがいた。
「よろしくね、高村さん」
「よ、よろし…って、あれ? 何で、名前?」
「あぁ。文化祭の日に佐野先生がそう呼んでたでしょ? 私、物覚えいいのよ」