先生なんて言わせない
ナルホドと納得してると、樋渡さんが急に頭を寄せてきた。
「私、佐野先生を狙っているの。だから、文化祭の時みたいな邪魔しないでね」
――――!!
驚きの余り、あたしは左耳を押さえながら、ガタンとその場で立ち上がってしまった。
皆の視線があたしに突き刺さる。
「おお~、そうかぁ!高村がやってくれるか!!」
「は?」
突然の五十嵐先生のうれしそうな発言の意味がわからなくて、あたしは間抜けな声を出した。
「よし。リレーのアンカーは高村ってことで」
五十嵐先生は黒板にあたしの名前を書いていく。
リレー?
アンカー?
樋渡さんに気をとられていたので、何の話かよくわからない。
黒板に視線をやると、どうやら体育祭の参加種目を決めているようだ。