先生なんて言わせない
「佐野先生、本当に待って。国語科準備室通り過ぎちゃった。
その現国のノート、準備室にもってくの」
佐野先生は職員室に持って行くって思い込んでるんだろう。
でも、安藤先生に国語科準備室まで持ってきてって言われたんだよね。
今日の日直があたしだから。
「あ、悪い。職員室だと思ってた」
佐野先生が足を止めた。
「あたしも言わなかったから。すぐそこ何で、後は大丈夫です。ノートこの上に置いて下さい」
自分が抱えてるノートにめくばせして言った。
佐野先生に持ってもらったまま準備室入ったら、
もしかしたら他の先生に怒られちゃうかもだから。
佐野先生もそれを察したのか、素直にノートを置いてくれる。
「それじゃあ、ありがとうございました」
お礼を言って、来た道を戻り始めた。
「高村!走り込みは明日の放課後からな!」