先生なんて言わせない
「え!?」
少ししてから、後ろから佐野先生の大きな声が聞こえ、あたしはあわてて振り返った。
だけど、近くの渡り廊下に続く曲がり角へと消えたようで、佐野先生の姿はなかった。
「…やられた」
あたしが断ることを予想して、断れないタイミングで言ったんだ。
走るにしても、走らないにしても、明日の放課後には佐野先生のところへ行かなきゃいけない。
「はぁ」
あたしは大きなため息をつきながら、国語科準備室のドアをノックした。
「はい」
すぐに返事がきたから、開けようとしたんだけど…。
あれ?
どうやって開けよう?
あたしは両手でノートを40冊近く持っているわけで、ドアに手をやれないよね。