先生なんて言わせない
片手でノートを持てなくもないけど、重い。
片手で40冊も支えながらドアを開けるって無理な体勢になるから、
ノートをぶちまけちゃわないかな。
なんてことをノートとドアの交互に視線を送りながら考えていると、
ドアがガラガラと音を立てて開いた。
パッと顔を上げたら、そこには安藤先生がクスクス笑いながら立っていた。
「ありがとうございます。…何でそんなに笑っているんですか?」
よくわからなくて、安藤先生にたずねた。
「いや、ノックしたのに入って来ないから」
それの何がおかしいんだろ?
「だって両手ふさがってたらドアを開けられないじゃないですか」
「じゃあ、高村さんはどうやってノックしたわけ?」
頭の中にハテナマークが浮かぶ。
「どうって、右手で…あ」