先生なんて言わせない

体育祭のことを隠すと――

『佐野先生のことを考えてました』?


考えた瞬間、体全体がカア~と熱くなった。



それだけは嫌だよ!


変な誤解も受けそう。



「顔赤くして、今度は何考えてるわけ?」


「きゃっ」


いきなり安藤先生のどアップが眼前にせまって、びっくりした。



「…あ、安藤先生、驚かさないで下さい!」


「オレの話を聞かない高村さんが悪いんだろ~? 何考えてたわけ?」


安藤先生が少し不機嫌そうな声を出した。



「そっ…それは秘密です!」



だって、言いたくないものは、言いたくない。


安藤先生から顔を背けた。



「…秘密か」


急に安藤先生の声が1トーン低くなった。

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