先生なんて言わせない
そこで言葉を切って、安藤先生はためらうように続きを言った。
「…それとも、まだオレのことが好き?」
その音が耳に届くとほぼ同時に、あたしの唇は安藤先生にふさがれていた。
「…ヤッ…」
すぐに安藤先生の胸を押し返した。
一瞬、応えようとしてしまった。
もうあたし達はそんな関係じゃないのに。
昔みたいに千沙って呼ばれたら、心が安藤先生と過ごした一年前に戻りそうになる。
でも、ダメだよ。
もう終わったの。
忘れたの。
だから、ダメ。
「な…んで、こんなことするの?」
うつむきながらたずねた。
安藤先生の顔を見てはいけない気がした。
今見たら、流されてしまう。