先生なんて言わせない
├ フォークダンス
勢いよく教室の扉を開けて、ようやく一息ついた。
「はぁはぁ」
「お帰りー、千沙ちゃん。遅いから授業に間に合わないかと心配したよ~」
笑顔のあゆみちゃんとれみちゃんが近づいてきて、あたしは顔を上げた。
「…あれ? 昼休みってまだあと10分はあるんじゃあ?」
そんなに長く安藤先生のトコにいたかな?
まだ5分前の予鈴も鳴っていないと思うんだけど。
「次は体育だから、早く着替えに行かないと間に合わないよ」
「あ、そっか」
あわてて体操服を取りに行った。
「体育で急いでたんじゃないなら、何で走って戻ってきたの?」
まだ少し息の荒いあたしに疑問を持ったれみちゃんがたずねてきて、
あたしはあせってごまかした。
「ほ、ほら。せっかくの昼休みが安藤先生の手伝いだけで終わったら嫌じゃない」