先生なんて言わせない
もしかして、アンカーは樋渡さんの方がいいんじゃあ…?
だって、樋渡さんって走り方からして慣れてる感じがする。
樋渡さんって陸上経験者?
そんなふうに考え事をしていたら、
「キャッ」
何かに足を取られて、派手に転んでしまった。
「大丈夫か!?」
「大丈夫!?」
佐野先生と樋渡さんがあわてて駆け寄ってくる。
あたしは体を起こして、「うん」と返事をした。
見ると、ひざ頭からは赤い血が流れていて、かなり痛い。
「怪我してるな。保健室行くぞ」
佐野先生はあたしを立ち上がらせた。
「ひとりで大丈夫ですから、先生は樋渡さんと練習続けて下さい」
「バカ! 放っておけるわけないだろ!」