先生なんて言わせない

もしかして、アンカーは樋渡さんの方がいいんじゃあ…?



だって、樋渡さんって走り方からして慣れてる感じがする。


樋渡さんって陸上経験者?



そんなふうに考え事をしていたら、


「キャッ」


何かに足を取られて、派手に転んでしまった。



「大丈夫か!?」


「大丈夫!?」



佐野先生と樋渡さんがあわてて駆け寄ってくる。



あたしは体を起こして、「うん」と返事をした。


見ると、ひざ頭からは赤い血が流れていて、かなり痛い。



「怪我してるな。保健室行くぞ」


佐野先生はあたしを立ち上がらせた。



「ひとりで大丈夫ですから、先生は樋渡さんと練習続けて下さい」


「バカ! 放っておけるわけないだろ!」

< 218 / 354 >

この作品をシェア

pagetop