先生なんて言わせない
佐野先生の言葉ひとつで気持ちが浮上したところで、
ちょうどリレー選手集合のアナウンスが流れた。
『リレーに出場の選手は入場門にお集まり下さい』
いよいよだ。
あたしはゴクッと息をのんだ。
「頑張って来い」と笑う佐野先生に微笑みを返して、あたしは軽い足取りで入場門に向かった。
入場門には、すでに他のメンバーがそろっていた。
第一走者の委員長、第二の小池くん、第三の樋渡さんだ。
委員長と小池くんは陸上部で足が速い。
樋渡さんも速かった。
この三人を差し置いて、あたしがアンカーを走るんだと思ったら、また少し緊張してきた。
体がカチコチになっていると、委員長が肩をたたいた。
「大丈夫だって。別に負けてもいいんだから、緊張するな。
それより、佐野先生にいいとこ見せたいんだろ? 頑張れよ」