先生なんて言わせない
「なッ、何言ってるの。別にいいとこ見せたくなんて…」
「はいはい、そういうことにしといてやるよ」
「だから、違うって」
聞く耳をもたない委員長に言いかえそうとしたけど、樋渡さんにさえぎられてしまった。
「仲良くしゃべってないで、入場が始まるから行くわよ」
なっ、仲良くなんてないのに~!!
口から飛び出そうな叫びを飲み込んで、樋渡さんの後に続いた。
あたしたちがスタート位置そばにつくと、
スタートの鉄砲が鳴り、委員長たち第一走者が走り出した。
委員長が走っている時、樋渡さんに話しかけられた。
「ねぇ、リレーで優勝できるか賭けない?」
「え?」
「優勝できたら高村さんの勝ち。佐野先生とのことは何も口出さないわ。
でも、もし負けたら私の勝ち。私と佐野先生の邪魔をしないで。先生に近づかないで」