先生なんて言わせない
そんなの、あたしが圧倒的に不利じゃないの?
周りを見渡しても運動系の部活で活躍してる人達ばかり。
それに、何よりも…。
なのに、あたしはうなずいてしまった。
負けたくない。
そんな思いがあたしを支配していた。
「交渉成立ね。お互い頑張りましょう」
樋渡さんは強気に微笑んで、スタート位置に歩いて行った。
小池くんから2位でバトンを受け取り、樋渡さんが走り出す。
やっぱり速い。
スタート位置で樋渡さんの走りを見守っていると、彼女はぐんぐん前に追いつき、
そして1位になった。
あっという間にバトンがあたしへと手渡された。
負けるわけにはいかない。
逃げ足の速いあたしだ。
なんとか逃げ切ってみせる。