先生なんて言わせない
「はっ? 勉強?」
「そう。おまえのことだから、期末前だってのに勉強してないんだろ? 俺が教えてやるよ」
呼び出されて行った体育教官室で待ち受けていたのは、性教育なんてモノではなく、
マジメな勉強会だった。
「そんな、保健体育以外まで佐野先生に教えてもらうわけには。自分で勉強できますから」
普通なら好きな人に教えてもらえるなんてうれしいことだろう。
でも、それを伝えることもできないあたしは、ただ苦しいだけ。
たとえ、本当に佐野先生もあたしを好きだとしても、
この想いを通じ合わせるわけにはいかない。
「バーカ!」
そんなことを考えていると、佐野先生に頭をポカッと軽くたたかれた。
「高村はひとりで勉強してもはかどらないヤツだろ? 素直に甘えとけ」
「でもっ…」
それでも納得いかないあたしに、佐野先生はひとつの提案を出した。