先生なんて言わせない

「そうだなぁ、もし俺のおかげでいい点数取れたら、俺にごほうびちょうだい?」


にっこり笑う佐野先生に嫌な予感を覚えた。



「…ご、ごほうび?」



あたしがもらうんじゃなくて、あげるの?



「そ。俺、ごほうび欲しいの。だから、俺に教えさせて?」


なんだか可愛いことを言う佐野先生に「ダメだ」と言うこともできずに、コクンとうなずいてしまった。



その時だった。


「ちょっと、待って!!」


なんと樋渡さんが乱入してきたんだ。



「ふたりだけなんてズルイ! 私にも勉強教えて!」


「お…おう」



樋渡さんの勢いに、佐野先生もあっさり負けてしまった。



「あと、ごほうびがどうとかって聞こえたけど、私にもごほうびくれますよね? 佐野先生」



いや、もらうんじゃなくて、本当はあげなきゃいけないんだけどね。

< 244 / 354 >

この作品をシェア

pagetop