先生なんて言わせない
└ 先生のために
それにしても、あたしが一緒にここで勉強してる意味あるのかな?
それほどまでに、樋渡さんが佐野先生を質問攻めにするから、
佐野先生は樋渡さんにかかりっきりだった。
あたしはというと…さっきからずっとシャーペンが止まっている。
だって、わからないんだもん。
何もわからない。
でも、さっきから樋渡さんと佐野先生の教え合いが止まらないから、たずねることもできない。
ふぅ~とため息をひとつつくと、席を立った。
「どうした?」
「トイレ行ってきます」
佐野先生の問いかけにもそっけなく返してしまう。
あたしって嫌なヤツだ。
それでも、ふたりを見ているとモヤモヤが止まらないから、ここにはいたくない。
本当はトイレになんて行きたくないのに、ひとり教官室を後にした。