先生なんて言わせない

行くあてもなく、ぼーっと歩いていると自分のクラスの明かりがまだついていることに気づいた。


テスト前だから誰か残ってるのかな?



足は何となしに教室へと向かっていた。




まだ夕方だと言うのにすっかり日は落ちて、

薄暗い廊下には教室からの明るい光がまぶしくこぼれ落ちていた。



ガラッとドアを横に引き、さらに光を廊下へ引き込む。



明るい電灯の下、机にかじりつくように勉強をしている男子生徒がいた。


「委員長…?」


つぶやいたあたしの耳に届いたのは肯定の言葉。



「あれ、高村? こんな時間に何してるんだ?」


「いや、委員長こそ何してるの?」


「俺? 見ての通り勉強」



そう言いながら指差す先には、机の上に広げられたノートと教科書があった。



「ひとりでずっと勉強してたの?」

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