先生なんて言わせない
ようやく戻った教官室に先に入ると、
後ろからカチャリと小さな音が静かな室内でやけに大きく響いた。
何の音だろうと振り返った瞬間に、あたしにおおいかぶさる影。
唇には熱く柔らかいモノが押しつけられていた。
――――!?
「やぁ…ン…」
抵抗してはみるけど、好きだと意識している人からのキス。
あらがいきれいるわけもなく、頭の芯からとろけていく。
やがて自由になった視界に映ったのは、苦しそうにゆがむ佐野先生の顔だった。
「…俺がどんな気持ちで捜してたか、わかるか?」
佐野先生の言おうとしてることがわからなくて、あたしは首を横に振った。
「いつまでたっても戻って来ないから、何か変なことに巻き込まれたのかと思った」
そんなバカな、と思った。
だって、ここは学校。