先生なんて言わせない
腰をかがめて、あたしの耳もとに顔を寄せた佐野先生が甘くささやいた。
あたしは驚いて、耳を押さえながら顔を赤くした。
み…耳まで熱い。
恥ずかしいよ。
「おまえ、可愛いけど、他の男の前でそんな反応するなよ?」
「え?」
どんな反応?
と、たずねようとした瞬間には、唇が奪われていた。
「…ン…ア……」
何度も何度も角度を変えて重なる唇をあたしは素直に受け入れようとした。
だって、今日はただの男と女になるって、決めた。
だけどね、考えれば考えるほど、あたしの頭の中で「先生と生徒」という現実がちらつくの。
とろけそうになる頭の芯のさらに奥深くから、警鐘が鳴り響く。
ダメだ、止めなきゃって思う。
でも、加速しだした想いは簡単には止まらない。