先生なんて言わせない
└ 熱い唇
軽い振動で、あたしは目覚めた。
「う…ん…?」
まず飛び込んできたのは、見慣れた景色だった。
家の近く?
何で?
まだ脳が動き出さなくて、何がなんだかわからなかった。
「起きたか?」
声をかけられて視線を動かすと、運転中の佐野先生が横にいた。
チラリとこちらを確認してくるその瞳と瞳が交じり合う。
「え…と、もしかして、あたし寝ちゃってました?」
佐野先生がクスリと笑った。
「ようやく泣き止んだと思ったら、寝息が聞こえてきてあせったよ」
あたし、あのまま寝ちゃったんだ~!!
すっごく恥ずかしくて、うつむいてしまった。
佐野先生の顔が見れないよ。