先生なんて言わせない
胸がズキンとした。
わかりきっていたこととはいえ、はっきり言葉にされると、かなりキツイ。
それを笑い飛ばすことができれば楽だろうに。
どういった反応をしたらいいのか考えていると、
鷹井くんが急に「あ~もう!」なんて声を上げながら、頭をかきむしってしゃがみ込んだ。
「た…鷹井くん?」
どうしたの?
急に。
わけがわからず、鷹井くんの背中に手をやろうとした時、鷹井くんの言葉に動きを止めた。
「ごめん、高村。いじわるして」
「え?」
鷹井くんが顔を上げて、すがるような瞳を向けてきた。
「本当はわかっているんだ。…高村が誰を想っているのか」
暗く静かな住宅街で、ゴクンとあたしの息をのむ音だけが響いていた。