先生なんて言わせない
皆が一斉に電話なりメールなりで「あけおめ」と祝うからだ。
メールを送信しようとしてできなかった経験も、
電話しようとしてつながらなかった経験もあるというのに。
あたしならともかく、鷹井くんまで忘れてたなんて…。
気づいていたなら、絶対あたしをひとりにしなかったと思うの。
それだけ、あたし達は気が動転していたってコトなのかな。
どうしよう。
怖さであたしの瞳には涙があふれてきていた。
必死に自分の両ひざを両腕で抱え込んだ。
自分の体温で、まるであたしはひとりじゃないと勇気づけるように。
その温もりは他の誰かのモノなんだよって言い聞かせるかのように。
顔をひざに埋めた。
そうやっていると、突然、見知らぬ温もりに包まれ、あたしは息を止めた。
――何?
何が起こったのか確かめたい。
でも、怖くて顔を上げられずにいた。