先生なんて言わせない

「来週の百人一首大会のグループ分けしてるんだよ。6人1組。

わかったら、さっさとグループ組めよ」



「百人一首大会? 何それ?」


よくわからなくてたずねると、ため息が聞こえた。



「高村っていっつも人の話聞いてないよな~。

二学期末の国語の授業で、百人一首覚える宿題の説明のときに、休み明けに百人一首大会するからって言ってただろ」



「そうなの?」


あたしは首をかしげた。



そういえば、そんな宿題もあったけど、百人一首大会の説明の記憶なんてなかった。


あの頃は先生との勉強会で毎日が幸せで、授業中に先生のことばかり考えていたのかも。



「とりあえずグループを作れ」


委員長に言われて、あたしも席を立った。



軽く視線を動かすと、笑って手を振ってるあゆみちゃんと目が合い、

あたしの足はそっちに向かった。



だけど、


「高村さんはこっちね」

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